TDRは素晴らしいが、このままでよいのか

私、現在、約10年ぶりでTDR(東京ディズニーリゾート)に訪れております。

ディズニー・クリスマス・ストーリーズ

単純にTDRの世界観が好きだからという理由で訪れたわけですが、来てみると、約10年前とは少し違う感想を持ちました。

とにかく人が多い。外国人観光客と思しき来場者が非常に多いことが、約10年前と一緒なのか違うのか、意識していなかったので分かりません。しかし、その点だけが「人が多い」と感じた理由だとは思いません。

人が多くなった理由、それは、「安すぎる」からだと思います。

関東のテーマパークの王者TDRに対する、関西のテーマパーク王者USJの経営危機をV時回復させたマーケターである森岡毅氏の書籍を読みましたが、日本のテーマパークの料金は、世界標準からすれば安すぎるのです。半額とまではいかないまでも、3〜4割は安いのではないでしょうか。

安いことはいいことではないか、と思われるかもしれません。
しかし、その物やサービスを本来の価値よりも安く売ることは、必ずしもいいとは限りません。むしろ、悪いことだと言ってよいのではないでしょうか。
「安いことがいいこと」という世界に入ってしまうと、安売り競争に巻き込まれてしまいます。競合他社が安売りすると、自社も安売りするという循環に巻き込まれます。そうすると、最終的には利益が出ない、あるいは非常に少ない中で物やサービスを提供しなければならなくなります。そのような状態で、消費者が本来求める物やサービスを提供できるでしょうか。

物やサービスは、本来の価値にしたがった対価で提供されなければならないのです。特に「夢と魔法の国」を謳っているTDRにおいては、それは「義務」と言ってもよいかもしれません。今現在、そのように「安すぎる」状態でも私が「多すぎる」と感じるほど人が訪れているのは、キャストと呼ばれる従業員が、「プロ」としての仕事をしているからに他なりません。
私自身、今回、TDRでキャストから嫌な思いをさせられたことは一度もありませんでした。しかし、それはキャストに無理を強いているのではないかと思わざるを得ません。その状況は正常ではありません。

私は、今回支払った対価の倍、少なくとも1.5倍支払ったとしても、文句は言いません。そのくらいの価値を提供してくれたと思います。

物もサービスも、本来の価値に見合う対価で提供されなければならない。「安売りはダメだ」。
そう心から思ったのでした。