親の争いに子どもを巻き込まない
毎年、日本で20万組以上の夫婦が離婚しています。
厚労省の人口動態統計によると、平成29年で約21万、平成30年で約20万組の
夫婦が離婚しています。
他方、同統計によると、平成29年に約60万、平成30年には約58万組の
夫婦が婚姻していますので
毎年、結婚した夫婦の数の3分の1程度の割合の夫婦が離婚していることになります。
夫婦といえども、それぞれの両親からの育てられ方などの環境が同じではありませんから
一緒に生活していくなかで、交わらない価値観が明らかになっていく
ということは十分あり得ることです。
一生一緒に歩んで行こうと思って結婚したとしても
離婚に至ることそのものは、やむを得ないことかもしれないと思います。
そして、一度人間関係を築いてしまったことで、感情的な対立が深まってしまい
夫婦間で様々な事柄に対しての捉え方が食い違い、争いが激しくなるということもまた
やむを得ないのだと思います。
しかし、その夫婦の争いに子どもを巻き込むべきではありません。
僕が離婚の事件をお受けする際、特に未成年のお子さんがおられる場合
もちろん、ご依頼者の利益を柱には据えつつ、その延長線上には
いつもお子さんの顔が見えている感覚を持っています。
お子さんが関わる事柄については
ご依頼者の希望や考えは酌み取りつつ
どのようにすることがお子さんにとってよりベターであるのか
という観点からお話ししています。
(”ベター”としたのは、お子さんにとっての”ベスト”は、虐待事案等は除き
通常は両親とともに一緒に過ごすことだからです。)
子どもにとっては、離婚しても父、あるいは、母であることに変わりはなく
むやみに悪感情を抱くことは、その後の生育にとって、マイナスにこそなれ
プラスになることはないからです。
現実に子どもを養育している側の親が、子どもに対してもう一人の親の
悪口を言って吹き込む、ということがよくありますが
それが子どもの成長にとって好ましいことかどうか、考えてみて欲しいと思います。
なかには、夫婦間の争いごとでの自分の立場を有利にするために
調停や裁判などで子どもを出しに使うような人もいます。
しかし、子どもは道具ではありません。
一人の、独立した人格を持った人間です。
生まれてすぐの言葉も発せられないときから、親の所有物ではありません。
なかには、弁護士が代理人としてついているのに、子どもを道具としていることを
放置している場合もあります。
僕はそのような弁護士に激しい怒りを覚えます。
親が争っていることは、子どもには関係がないことです。
子どもが、親に結婚してくれと言ったわけではありません。
結婚したことは、親が自分たちで決断したことです。
その結末は自分たちだけでつけるべきであって
子どもを巻き込んではいけません。
現在の家庭裁判所も、僕が述べてきたことと同じスタンスです。
離婚するとしても、子どもの成長にとっては、両親との感情の交流が必要である
という考え方に立っています。
もし、夫婦仲が上手くいっていなかったとしても、子どもを巻き込まず
親の責任は親の間だけでつけていって欲しいと思います。