正しい努力は正しく報われる

エデルマン、スーパーボウルMVP受賞

随分前のことになってしまいましたが、去る2月4日、NFLの頂上決戦である第53回スーパーボウルが開催され、ニューイングランド・ペイトリオッツがNFL史上最多タイとなる通算6度目のスーパーボウル制覇を成し遂げました。

対戦相手は、ロサンゼルス・ラムズ。33歳とスーパーボウル史上最も若いHC(ヘッド・コーチ)ショーン・マクベイが、24歳とこれも若いQB(クォーター・バック)ジャレット・ゴフを擁し、爆発的な得点力で勝ち進んできていました。

ペイトリオッツとラムズのスーパーボウルでの対戦は、2001年シーズンの第36回スーパーボウルから17年ぶりのことでした。このとき、まだ2年目だったQBトム・ブレイディがMVPを受賞する活躍でラムズを下し、今まで続くペイトリオッツの王朝が始まったのでした。

今回の対戦では、誰もが点取り合戦を予想したと思いますが、蓋を開けると、ペイトリオッツは、ラムズ陣深くまで攻め込むも、インターセプトやフィールドゴール失敗などで思うように得点できず、前半はフィールドゴールの3点のみ。ラムズは、ファーストダウン更新すらままならず、前半は3rdコンバージョン成功0回で、パントで終わるシリーズが続き、無得点に終わりました。
後半に入っても、試合は大きく動くことはなく、ペイトリオッツが、それまでほとんどキャッチを記録していなかったTEロブ・グロンカウスキーへ効果的にパスを通したシリーズでタッチダウンを取り、ラムズは1本フィールドゴールを返しただけで、最終的に13−3というスーパーボウル史上最小得点で決着しました。

私は毎年、スーパーボウルの日(日本時間では2月の第一火曜日)には、仕事を休ませてもらい、リアルタイムでテレビ観戦しているのですが、この試合を観ながら、Twitterでもつぶやきましたが、学生時代にビデオで1995年の京大対立命館の試合を観ていたときのような緊張感を覚えました。この試合は、7対3というスコアで京大が立命館に勝利した試合で、QB東野さん、WR下川さんを中心に高い得点力を誇る立命館の攻撃を、DL主将伊藤さん、DE阿部さんを中心とする京大の鉄壁のディフェンスが押さえきったのでした。

今年のスーパーボウルを観ていて、タッチダウンがぼんぼん入る試合は確かに華やかですが、ディフェンスが高いレベルでオフェンスを押さえ込む試合は見応えがあって、「これぞアメフト」というものだと改めて思った次第です。

さて、そろそろタイトルのことに話を持っていきますが、今年のスーパーボウル、MVPを受賞したのは、冒頭の写真のWRジュリアン・エデルマンでした。エデルマンは、この試合10キャッチ141ヤード、タッチダウンなしという成績でしたが、前半はブレイディのターゲットとして一人で気を吐いている状態でした。前半攻めあぐねながらもペイトリオッツが崩れていかなかったのは、エデルマンがきっちりパスキャッチし、ラン・アフター・キャッチで1stダウンを更新していたことが大きかったと思います。
そんなエデルマンは、2009年にペイトリオッツに入りNFL人生をスタートさせていますが、順風満帆ではありませんでした。私が最初に彼に注目したのは、WRとしてではなく、キック・オフ・カバーのプレーででした。たいてい一番最初にリターナーへ詰めていき、ファースト・タックラーとなり、かつ、仕留めきっていました。また、2011年シーズンには、ディフェンス陣に負傷者が相次いだため、DBとしても出場していました。
そのようにして、与えられた役割を着実に果たし、信頼を獲得していったエデルマンは、2013年シーズン、それまでのエースレシーバーであったウェス・ウェルカーがペイトリオッツを去り、デンバー・ブロンコスに移籍したため、WRとしての地位を高め、ブレイディのメイン・ターゲットとなっていきました。
その後、2014年シーズンのスーパーボウルでは決勝点となるタッチダウンパスキャッチをし、2016年シーズンのスーパーボウルではディフェンスにカットされたボールを地面すれすれで奇跡的なキャッチをし、それぞれスーパーボウル制覇に大きく貢献してきていました。

そして今回、ようやくスーパーボウルMVP。正しく努力を続けていれば、その努力は正しく報われるのだと改めて思いました。
エデルマンは、身長178cmとNFLでは小柄であり、親近感を持ってきた大好きな選手だったので、今回の受賞は、私としても本当に嬉しい出来事でした。

2018年のNFLシーズンは、こうして締めくくられたのですが、先日、ペイトリオッツのロバート・クラフトオーナーが、買春申し入れの罪で起訴されたとのニュースが流れました。クラフトオーナーは否認しているようですので、どのような決着となるかは分かりませんが、ペイトリオッツの史上最多タイのスーパーボウル制覇、エデルマンMVP受賞で気持ちよく来シーズンを迎えられると思っていただけに、何ともいえない後味の悪さを感じざるを得ません。
とはいえ、もうすぐドラフトも行われ、FAなどでの選手の移動も今後続きますので、来シーズン、それぞれのチームがどのような顔ぶれで戦っていくことになるのか、楽しみにしたいと思います。