DB's PRIDE④

DB's PRIDE

1回生の早い段階でDBに配属された僕。また、早い段階から上回生の練習に混ぜてもらえるようになりました。1回生ながら秋のリーグ戦にスターターとして出ることになったTも一緒でした。

上回生に混ぜてもらえるようになった後、早い段階で当時4回生の高村さんから次の言葉を言われました。

「DBはこけたら死刑や」

この言葉の直接的な意味は、次のようなものです。
DBはディフェンスの最後の砦であって、タッチダウンを防ぐために、ボールを持って走るキャリアーを最後まで追いかけ続けなければならない。それがDBの責任であり存在意義である。途中でこけるなどは自らの存在意義を否定する行為である。

そしてこれは、次の意味を含んでいます。
最後の最後までタッチダウンを防いで戦うのは他のどのポジションでもなくDBである、という意味。そして、DBがタッチダウンを防ぐために最後まで戦っていれば、必ず他のディフェンスメンバーがタックルしてくれる、という意味。

実はこれこそが、「DB's PRIDE」です。

どれだけDLやLBが頑張ったとしても、それですべての攻撃を止められることはなく、DBがいなければタッチダウンになってしまう。DBがいなければディフェンスは成り立たない。
反対に、DBですべての攻撃を止められることはなく、DL、LBがタックルしてくれることを信じて自らの身を挺する。
それがDBのプライドである。

この言葉は、現役時代を通じて、そして今でも私の胸に深く刻み込まれている言葉です。DBとは何たるか、いかにあるべきか、そして、アメフトとは何たるかを表したものだと思います。
自分は自分の役割を全うせねばならず、そのために最大限の努力をしなければならない。しかし、自分が出来ることは限られているのであり、仲間の協力がなければ目的は果たせない。与えられた役割を自覚したうえで、努力し続けなければならない。

これはアメフトというスポーツに限られたことではなく、社会人としても、一人の人間としても妥当することではないかと思います。

DB's PRIDE②で、甲子園ボウルで僕が感動したプレーが、「『DB's PRIDE』が着実に実践されたプレーだった」と書いたのですが、いったいぜんたい何が「DB's PRIDE」が実践されていたか。
このプレーはオフタックルのプレーだったと思うのですが、右のCBだった中谷さんがOL(オフェンスライン)だったかFB(フルバック)だったかがリードブロックしてくるのにヒットして潰れ込み、ボールを持って走ってくる池場さんを内側に走らせています。ここで池場さんに外側に走られていれば、確実にタッチダウンとなっていました。中谷さんは、内側から味方がタックルしてくれることを信じて、自分がタックルするのではなく、ブロッカーを潰すという役割に徹したのです。
これは中谷さんだけに限ったことではなく、この一つのプレーで、最終的にタックルをしたのは根来さんですが、他のディフェンスメンバーも根来さんがフリーでタックルできるために、オフェンスのブロッカーを潰しているのです。

こうして、1回生の早い段階で「DB's PRIDE」というフィロソフィーを植え付けられた僕でした。次へ続く。