宗教法人と神社・お寺との関係

今日は,私も弁護士として事件を担当するまでは仕組みを理解していなかった,宗教法人と神社さん・お寺さんとの関係について書いてみたいと思います。

宗教活動を行っているのは,宗教法人そのものではなく神社さんやお寺さんです。
そして,宗教法人として活動を行っているのは神社さんやお寺さんそのものではありません。

何が違うの?と思われたかもしれません。

具体的にみてみましょう。
宗教法人Aという神社さんを例に取ってみたいと思います。

宗教活動を行う人は(法的には自然人といいます),Aの宮司さんやその他の神職さんです。
宗教法人としての活動を行う人は,宗教法人Aの代表役員と責任役員です。

宗教法人Aの代表役員と責任役員は,(その地位をもっては)宗教活動を行ってはいません。
また,宗教法人Aの意思決定は,代表役員と責任役員が行うのであり,宮司さんやその他の神職さんが行うものではありません。

通常は,代表役員は宮司さんがなるとしている神社さんがほとんどですので,宮司さんが宗教法人の意思決定を行っているように見えますが,法的には区別して考えなければならないのです。

宗教法人が行う重要な意思決定には,法人規則の変更・法人の解散・代表役員の解任等があります。
これらの事柄は,宮司さんや神職さんが勝手に決められるのではなく,代表役員と責任役員で決めなければならず,裏を返せば,代表役員と責任役員で決めることができてしまいます。

上記のとおり,代表役員と宮司さんは同一人物であることがほとんどですから,宮司(代表役員)と責任役員は,ある意味牽制し合う関係に立っていると言えます。

これは,宗教法人法がまさに狙ったことであるのですが,円滑に法人運営及び宗教活動を行っていくためには,如何に対立構造とならない責任役員人事ができるのかということが,重要だと言えると思います。