交渉で顔を合わせることの大切さ

弁護士の重要な仕事の一つに相手方との交渉があります。

交渉の内容は様々ですが,私は基本的に相手方と顔を合わせて話すことが重要だと考えています。顔を合わせることで人間関係が形成され,同じ方向を向くことが可能となり,それが事案を解決する力になると思うからです。

もちろん,交渉では如何ともしがたいという事案はあり,その場合は訴訟等の手続に移行せざるを得ないのですが。

しかし,どうやら私のようには考えない弁護士もいるようで,隣接他府県に交渉に訪れた際,その隣接他府県の弁護士は皆,会って交渉するということはしないと言われました。

交渉の方法は,会うか電話か文書かの3通りくらいしかありませんので,電話や文書で交渉の目的を遂げられると考えているのでしょうか。
当該事案は,先方が文書を送ってくるのみの交渉態度だったため,上記の同じ方向を向く可能性がないと当方が判断し,交渉を打ち切りました。

訴訟になる前に交渉での解決を模索することは,ご依頼者の方にとってメリットがあります。訴訟にかかる余分な費用を支出せずに済むことです。

争いが峻烈な場合は,裁判所による客観的解決に依らなければご依頼者も納得しないということもありますが,交渉による解決の可能性がある事案であれば,できる限り交渉で解決しようとするのが,正当な弁護活動であると考えます。
相手方と顔を合わせず,電話や文書のみで済まそうとすることは,不適切な弁護活動ではないかと思います。