紛争解決か紛争予防か

弁護士の仕事というのは,既に起きた紛争を解決することである。
そう思っておられる方も多いのではないでしょうか。

かく言う私も,弁護士に成り立ての時にはそのように思っていましたし,年配の弁護士の中には,そのような考えを強く持っている方もおられるのではないかと思います。

しかしながら,依頼者が本当に求めていることを考えたとき,それは,紛争が起きてしまった後で解決することではなく,紛争が起きないようにすることではないでしょうか。
その方が,問題が長期化することを防げ,問題解決のためのコストも抑えることができるのが一般的だからです。

とはいっても,紛争の発生を必ず抑えることができれば,それに越したことはないのですが,どうしても起きてしまう紛争もあるでしょう。
それはそれで,依頼者にとって,いかに適切な紛争解決を行うか,という
通常イメージされる弁護活動になるわけですが,それは次善の策だと思っています。

そのためには,顧問先の場合などに対しては,種々の分野に幅広く目を向け,今後問題が発生する可能性がないかどうかチェックし,可能性があれば,どのような対処が可能かアドバイスすることが,弁護士に求められていると思います。