京都ぎらい - 読書日記

著者の井上章一氏は、京都大学工学部建築学科を卒業されていますが、文筆業でも功績を残しておられ、本書もその1つです。
私は、恥ずかしながら、前の記事(「食堂おがわ」さんにお邪魔しました)で書いた、お誘いいただいたお客様が著者のお知り合いで、そのお客様に教えて頂き、この本を手に取ったのでした。

京都ぎらい

井上氏は、京都市のなかの「嵯峨」で育ち、現在は京都府宇治市で暮らしておられますが、嵯峨という「洛外」の者から見た「洛中」を、痛快に書いておられます。
私なぞは、大阪の高槻で育ち(本書では、大阪人が高槻をバカにするくだりも出てきます)、大学で京都に出てきた完全なる部外者ですので、井上氏の心中を推し量ることはできても、共感できる立場にはないのですが、曲がりなりも京都で長くいると、「ふむふむ。洛中の人が言いそう。」と分かるところは多々ありました。

井上氏の軽妙な筆の運びは、私が大学時代に好んで読んでいた原田宗典氏(同氏は、2013年に覚せい剤取締法違反等で有罪となり、私は著しく落胆したのですが)を思い出させ、思わずクスッとしてしまうものでした。
(ご経歴によるとは言いませんが、原田氏と文章の格調が異なる事は申し添えておきます。)

お会いしてお話しをお聞きしたいと思いました。
まだお読みになっておられない方は、是非一度手にとってみていただければと思います。