コーチング

ビジネスの世界では,「コーチング」というスキルが必須のものとして認識されていると言ってよいかと思います。

「コーチング」とは,「クライアントの生活と仕事における可能性を最大限に発揮することを目指し,創造的で刺激的なプロセスを通じ,クライアントに行動を起こさせる,コーチとクライアントの提携関係を指す」などと定義されています(国際コーチ連盟)。

平たく言うと,コーチが答えを用意してそれを押しつけるのではなく,クライアントの可能性を信じ,クライアントが自ら見つけた答えに従って行動することを促すことである,と私は理解しています。

私は,プロコーチの資格を有しているわけではなく,専門的なコーチセッションを受けたこともありませんが,「コーチング」のスキルを,身をもって体現してきていると自負しています。

思い起こせば,大学時代に遡りますが,私が4回生の時に,3回生の後輩が,センスはいいのに,やる気がないように周囲から見えており,いまいち結果も出せていない,ということがありました。恐らく彼も,自分は向いていないのではないか,辞めた方がよいのではないか,などと考えていたのではないかと思います。

私は,その後輩と,練習後に話をし,彼が考えていること,どうしたいのか,彼から答えを引き出す会話を重ね,最終的に,彼は,泣きながら自分で答えを見つけ,頑張りますと述べました。翌日すぐに劇的に変わったということではありませんでしたが,彼が3回生のシーズンもディフェンスの主力として活躍してくれ,4回生でも中心選手となりました。

別の2回生の後輩にも,同じように話をして,周りからはいつ辞めてもおかしくない,と思われていたのに,4回生まで立派にやり遂げた後輩もいます。

当然,私は,その当時「コーチング」のコの字も知りませんでしたので,「コーチング」スキルを意識して話をしたわけではありませんでした。ただ,「気合いが足りない」「やる気を出せ」と言っても,人にやる気が出るわけがないことを知っていただけです。
辞めたいなら辞めればいい,でも,俺はもったいないと思う,ということを素直に伝えたことは覚えています。

その人とのコミュニケーションを大事に思うならば,自然と人は「コーチング」を使っているのかもしれません。