民事・家事事件と弁護士

弁護士の仕事には,大きく分けて民事・家事事件と刑事事件があります。

テレビドラマなどでは,刑事事件が扱われることが多いため,弁護士は刑事事件ばかりやっていると思っておられる方も多いかもしれません。
しかし,現実には刑事事件ばかりやっているという弁護士の数は多くなく,ほとんどの弁護士は民事・家事事件を主たる仕事としています。

私の場合でいえば,刑事事件の割合は1割にも満たないです(本日現在の手持ち事件数は0件です。)。

では民事事件ってどんなものか想像することは難しいかもしれませんが
「貸したお金を返せ」とか「交通事故に遭ったから損害賠償しろ」とか「家賃を払わないから部屋を出て行け」とか「未払いの賃金を支払え」などなどです。

家事事件とは
「離婚したい」とか「遺産を分割したい」などなどです。

民事事件は地方裁判所(簡易裁判所の場合もあります。),家事事件は家庭裁判所で審理されます。

民事事件,家事事件で弁護士は何をするのかといえば
以前にも述べた,法令等に事実を当てはめて結論を導く法的三段論法を用い依頼者の最大限の利益を実現する,ということになります。

例えば「貸したお金を返せ」という事件では
一般的には,借りたものは返しなさいよ,と思われるかもしれませんが,民法には消滅時効という制度があり,「債権は,10年間行使しないときは,消滅する」とされています(167条1項)。
つまり,お金を貸したとしても,10年間放ったらかしにしていた場合,債権(返せという権利)は消滅してしまうということです。
この場合でいえば,弁護士は,民法167条1項という法律の知識に,10年間放ったらかしにしていたという事実を当てはめ,権利が消滅している,という結論を導くわけです。
消滅時効が裁判で認められれば,裁判を起こしたお金を貸した側(原告)が敗訴し,お金を借りた側(被告)が勝訴する,ということになります。

今述べたものは,極めて簡単な例ですが,世の中にはたくさんの法令があり,これを認識,理解したうえで裁判で依頼者のために駆使することが,我々弁護士には求められているのです。